男心と秋の空 | 名古屋の結婚相談所プリヴェールがおくる婚活コラム

結婚相談所『プリヴェール』です。

「女心と秋の空」ということわざがありますよね。

秋は、低気圧と高気圧が日本の上空を3～4日ごとの間隔で交互に通るため、お天気が変わりやすいという特徴があります。

女性は、喜怒哀楽の感情の起伏が激しく、気持ちがコロコロと変わりやすい為、これを秋の空になぞらえて「女心と秋の空」という言葉ができました。

今では「女心と秋の空」の方が一般的に使われますが、実は「男心と秋の空」のほうが先にあることわざだということをご存じですか？

今回は「男心と秋の空」と「女心と秋の空」についてお伝えします。

◆「男心と秋の空」

このことわざができたのは、実は江戸時代。

男性の、女性に対する愛情が変わりやすいことを意味しています。

当時は既婚女性の浮気は重罪で命を落とすほどの罪でしたが、既婚男性の浮気には寛大という風潮がありました。

（…今でも多少その名残があるような気もしますが…。）

男性には女性に対する移り気、つまり浮気心があった為、

・女性はそういった男性に注意するように戒める為に使われたり、

・女性が男性にフラれた際に、男性は移り気だから仕方がないと未練を断ち切るための慰めの言葉

としても使われていました。

江戸時代よりも前の室町時代にも、狂言『黒塗』の中で、

「男心と秋の空は一夜にして七度変わる」

という有名なセリフがあります。

これも、「男心と秋の空」と同様の意味です。

男性の浮気性は、室町時代から平成の今に至るまで変わっていないのですね…。

これはもう男性の遺伝子に組み込まれた本能なのか、男性の性なのか…。

実は、「男心と秋の空」の類義語は他にもあるのです。

・夫の心と川の瀬は一夜に変わる

・男の心と川の瀬は一夜に変わる

・変わり易きは川の瀬と男の心

→川の瀬は、流れが速いため、一夜にしてその様子を変える。
同様に、女性への愛情も移ろいやすいということから、男の心は非常に変わりやすいという意味。

男性の女性に対する移り気な心を表す言葉がこれほどにあるということは、いかに男性が浮気性かということですね。

◆「女心と秋の空」

では、「女心と秋の空」と言われるようになったのは、いつ頃でしょうか。

明治時代の尾崎紅葉の小説『三人妻』に「男心と秋の空」がでてきますが、

「欧羅巴の諺に女心と冬日和といえり」と続きます。

イギリスでは、「A woman‘s mind and winter wind change often」（女心と冬の風）ということわざがあるそうで、イギリスの冬の風は強くなったり、弱くなったり変わり易いとのこと。

そんな変化しやすい冬の風を女心にたとえたものです。

日本の女性だけでなく、海を渡った先の女性の心も変わりやすいということがわかりますね。

その後、大正デモクラシーで女性の地位が向上すると、女性の恋愛の価値観も変わります。

当時、一世を風靡した浅草オペラで、『風の中の　羽のように　いつも変わる　女心　、、』

と歌う『女心の歌』※が大ヒットしました。

（※ヴェルディ作：歌劇「リゴレット」第3幕より）

西洋文化の影響で女性が恋愛に関しても意思表示できるようにり、この頃から「女心と秋の空」とも言われるようになりました。

しかし女性の場合は、愛情に限らず、喜怒哀楽の感情の起伏が激しいことや物事に対して移り気なことを意味しているため、男心とは少し意味合いが違うのです。

昭和に入り「女心と秋の空」が定着し始めましたが、『広辞苑』に初めて掲載されたのは第５版(1998年11月刊行)からです。

まだ『広辞苑』に掲載されてから19年しか経っていない現代の新語なのです。

さらに辞書によると、「女心」に変わったのは、『英語のことわざの影響による』とあります。

前述したイギリスのことわざのことでしょう。

ということで、日本に元からある言葉はでは、変わり易いのはもともと「男心」で、

イギリスの影響を受けて「女心」の方が変わり易いと言われるようになったという興味深い流れがあったのです。

秋になると、天気予報の中で「女心と秋の空と言うように今週の天気は…」といった言葉がよく聞かれますが、

「男心と秋の空と言うように…」としてもいいということですね。

「女心」か「男心」か、みなさんはどちらがしっくりきますか？

おそらく、女性は「男心の方が変わりやすい！」と思っているでしょうし、

男性は、「女心の変わりやすさには参る…」と思っていることでしょう。

どちらにせよ、その意味に違いはあっても、「女心」も「男心」も変わりやすいということです。

人の移り気な心を表す言葉にこのようなものもあります。

・測り難きは人心

→（自分の心でさえもよく分からないのに）他人の心ほど推測することが難しいものはなく、人の心は、すぐに変わりやすく頼りにならない、ということ。

・分からぬは夏の日和と人心

→晴れていたのに急に雷雨になることもある夏の天気は変わりやすい。同じように人の心も変りやすく、わからないものである、ということ。

この言葉にもあるように、男女関係なくそもそも人のこころとはわかりにくく、変わりやすいものであるということですね。

男女がお互いにそれぞれの性質をを理解していれば、些細な衝突を防げたり、お互いを思いやったり、自分を戒める言葉としても気をつけることができると思います。

代々言われてきたことわざを自分に照らし合わせ、それを生かして、よりよい人との関係を築いていきたいですね。

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